~給食室から~

本物の味を伝えたい

子どもに「本物の味を伝えたい。」そう思いながら、毎日給食を作っています。本物とは何かと言えば、いろいろありますが、まず素材の味です。素材そのものがおいしいことはもちろんですが、余計なものが入っていないこと。添加物が山ほど入った加工食品や味の濃い料理は、素材の味がよくわかりません。人間は、食べ慣れた味をおいしいと感じるはずなので、毎日添加物や、化学調味料が入ったものばかり食べていると、素材の味が判別できなくなってしまうんじゃないかと思います。幼稚園の和風の汁物は、煮干しとかつお節で出汁をとっています。子どもの「舌の記憶」は、将来の食生活の基盤となる大切なもの、さまざまなおいしさがわかるように、人として成長するために何が必要か考えて子どもの嗜好でおいしいと思うものだけを食べさせるのが給食ではないと思っています。

毎回、気持ちを込めて

料理には、作る人の気持ちが絶対に入ると思います。おいしいなとか、優しい味がするとか、何か自分の体に訴えるものがあれば、作った人の気持ちが入っているのです。逆に言うと、何も感じられなければ、心のこもっていないものを食べたことになりますね。自分のために汗を流して、一生懸命おいしいものを作ってくれた、そのことに感謝しながら食べる、そういう気持ちが大事です。子どもたちにも、押しつけるのではなく、自然とそんなふうに思ってもらいたいな、と思います。